無担保無利子融資の返済開始問題ですが…

2022年1月10日(月)

コロナ禍の影響による企業経営について、暫くは明るい兆しが見えないのが現況でしょう。
民間調査機関が公表する倒産件数は、過去50年以上例にならないほど低位で推移しているのですが、実情は厳しい状況が続いているのではないかと感じます。

倒産抑制でひずみ蓄積 21年、政府支援で57年ぶり低水準: 日本経済新聞 (nikkei.com)

倒産件数に計上されているのは、法的倒産(会社更生・民事再生・破産・特別清算)と私的倒産(取引停止処分・内整理)ですが、政府等の手厚い支援により、対象となる条件に合致する先が減少しているのは明白です。しかし、記事にある通り、本来は「倒産」の定義対象にならざるを得ない事業会社は多数存在しており、今年から開始されるであろう「融資返済」により資金繰りに窮する事業会社の増加は避けられないでしょう。

無担保無利子融資への対応、監督官庁の指導方針に関しては、以前のブログで記載していますが、問題の先送りであることは明らかです。
http://www.hfmc-honda.com/index-BLOG_20200804.html(2020.08.04)
http://www.hfmc-honda.com/index-BLOG_20211126.html(2021.11.26)
記事にあるとおり、返済余力の指標である実質有利子負債に対する「EVITDA」の倍率が5を超えているようですが、一般的に金融機関が融資判断する際には、当該数値は「7前後」が目安になるとい言われており、上限に近づいていると思われます。つまり、事業活動により発生する収益により負債の返済に何年を要するかを考えると、5~7年で完済することが目安となるはずですが、大幅に超える企業が多数存在するということです。

経済環境が改善しない状況下、政府も含め、「返済を一時的に猶予する等返済条件の緩和」を唯一の対策として対応しているのですが、果たして良いのか?疑問です。金融円滑化法の際も然りでしたが、返済を一時的に猶予したとしても、猶予期間中に事業そのものが改善して利益を出せる状態に改善しなければ最終的には破綻せざるを得ないということになるでしょう。

無担保無利子融資は信用保証協会の保証により保全されており、金融機関としてはリスクが無い扱いですが、今後破綻することにより代位弁済が増加すれば、結果、利息収入が期待できる貸出しが減少することになり、現在の地域金融機関の好決算は持続できないということになるでしょう。
単年度で決算内容が好転したとしても、コロナ禍が過ぎて以前の状態に戻った時点で苦戦するという事態になることも考えられます。自前でリスクを取らない経営を続けていれば「先は無い」ということになるように思うのは自分だけでしょうか。

 

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