無利子・無担保融資の扱いに関する記事です…

2020年08月04日(火)

新型コロナ対策として政府が導入した「実質無担保・無利子融資制度」に関する地域金融機関の取り組みに関する記事です。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62246930T00C20A8EE9000/

この扱いに関しては、5月27日のブログでも示しましたが(http://hfmc-honda.cocolog-nifty.com/blog/2020/05/post-0a27b2.html)、金融機関経営は、未だに旧態依然の状態なのでしょうか?
金融庁の遠藤長官も、日経フィナンシャルの記事の中で、ビジネスモデルの転換ができていない地方銀行は6割以上を占めるのではないかと訴えていましたが、今回の内容は、まさにその状態を示しているのではないでしょうか。

100年に1度というパンデミックによる経済活動への影響は計り知れず、業績低迷の企業を支援するための対策として考えられた制度そのものは、やむを得ないものと思われますが、それを運用する側の倫理感というものが重要になるのではないでしょうか。
仮に、記事にあるように、本来企業が支払うべき金利を国が補助するとともに、万が一返済が滞っても最後は国が補填する、全くリスクの無い融資であり、採り上げ条件にさえ合致すれば、本来必要としていない企業へも融資を勧めるという取り組みは、本当の意味で、企業のためになっているのでしょうかね。

一時的な資金ニーズへの対策を講ずるのではなく、3年、5年後も持続可能な経営を実現できるのか否か、今のこの時期だからこそ、金融のプロとして真摯に相談に乗り最適な解を導き出し、その過程で資金が必要となるならば負担の少ない制度を活用する、という流れが本来あるべき姿なのではないでしょうか。

監督する側も、運用状況には問題視しており報告を求めていると思いますが、従来のように、単に「実行件数と金額」を求めるだけでは真の実態を把握できないはずです。 どのような観点からモニタリングしているのでしょうかね。
取引先や借入先の現在の状態がどうなのか、今後の事業の道筋はどうなのか、3年~5年後は回復の可能性があるのか否か、それを具体的にどのような基準で判断したのか、様々な要因別に、採り上げた件数や金額を報告させ確認しなければ、今後の効果検証もできないように思います。

リーマンショック後、特別保証枠を利用した緊急保証制度による融資に関しては、正に運用上の問題から「金融機関のモラルハザード」や「代位弁済の増加」「信用保険収支の悪化」等問題が指摘されていたはずですが、今回も同様の事態になるのではないでしょうか。
ここ数年、金融庁が求めていた「事業性評価」に基づく企業支援体制の確立という大命題はどうなっているのか、疑問でなりません。

今回のコロナ禍における政府、行政による様々な対応に関して、満足のいくものではないと感じていますが、金融機関の本来あるべき姿勢を全うした経営をする金融機関が出てくることを切に望みたいですね。

 

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