経費方針=活動経費計画のまとめ方

 会社の儲けの状態を把握する方法である
「損益分岐点分析」という方法は、会社運営上で発生する「変動費」「固定費」に分解して考えるものです。

 変動費は「仕入方針を考える〜原価実態の捉え方」でも説明した主に「仕入原価」に相当する部分ですが、原価以外の
経費の実態を捉える際には「固定費」に相当する部分を正しく見極め計画を立てることがポイントとなります
 固定費は、売上が無くても必ず発生する経費であって、会社運営そのものを効率化することで如何にして支出を抑えることができるか計画を立てる上では重要なポイントになります。売上に関係なく社員に支払わなければならない「人件費」が代表的な固定費であり、その他一般的な管理費や販売を促進する目的で発生する費用等も固定費と考えられるのですが、銀行からの借入金の支払利息等も考える必要があります。

 売上や仕入についての計画を立案する際に、営業活動地域をどのように考えるか重要な検討テーマであると解説しましたが、経費についても同様です。営業担当者が事業所や店舗、支店等で営業活動をする際に効率的に活動が行うことができるか、「場所」によってメリハリをつける必要があります。事業所や店舗・支店毎に経費に関する予算を組むことが一般的だと思いますが、その「場所」で予算計上される科目が果たして必要があるのか否かについて確認した上で、適切な予算編成を行わなければなりません。

 また、「経費」の支出を抑制するための方法論を考える上では、3つのキーワード「節約」「無駄の排除」「効率化」を前提に、実態を「適切」に見極めるための分析を確実に行うことが第一歩となります。

3つのキーワードの意義

 会社としては、最終的に「どれだけ利益を計上する」ことができるのかが「目標」となりますが、そのためには「支出」=「経費」を如何にして抑えるかが「解決すべき課題」となります。経営を維持する上で必要不可欠な経費は適切な費用として捉えなければなりませんし、費用の内訳がどのようになっているのかが重要です。つまり、
費用は目的に応じた「最適な支出」は「何」で「どの位」なのか考えることがポイントなのです。その為には、費用を抑制する3つのキーワードを前提に会社の特性を考慮して計画を立てることです。

 ・節約=経営上必要だが、支出を抑えるために何をすべきか?
 ・無駄の排除=
本当に必要な支出なのか否か見極め、必要が無いものは廃止できるか?
 ・効率化=
手間と時間をかけずに同じ結果を出すために行動できるか?


【節約】
 営業活動を行う際に必要となる「人件費(=役員、従業員の給料、賃金、手当、賞与、福利厚生費)」並びに「諸経費(=交際費、旅費、交通費、通信費、光熱費及び消耗品費、租税公課、減価償却費、修繕費、保険料、不動産賃借料及びのれんの償却額等)」の内で、無くてはならないものは何かを考えることが第一の検討ポイントです。
 必要不可欠である人件費に関しては、想定される収入を前提に支払える金額は決まってきます。その中で固定費に占める人件費の割合に関しては前年度の実績や今後の収益の見込みなども考慮し検討する必要があります。但し、経費の支出として表される金額の高い低いで判断するのではなく、「労務管理」や「人事管理=業績評価」という情報を総合的に考慮して計画を立てることが重要な点を忘れてはいけません。

 会社が職員へ支払う給与は「労働に対する対価」として支払われるものですが、その価値が会社と職員双方にとって同じ価値であれば問題ないのですが、齟齬があると問題が顕在化します。特に、人件費の削減や社員の解雇というように「効率化」ありきの対応は「職員のやる気」を無くしてしまい経営にはマイナスに働く可能性があります。一方で、職員が会社の待遇(給与や雇用条件等)に満足していれば、生産性も上がり利益は更に上がるという好循環になります。つまり、会社の職員に対する評価は会社の利益に対して相乗効果として働きますので、人件費に関する計画を考える場合は、その年の評価方法も併せて考えることが必要です。
例えば、以下のような「目標管理制度」により年間の目標を自己申告により定め、結果を評価する方法も考えられます。


 一方で、人件費を除く他の科目については最低限で賄える額を科目別に過去の実績内容を確認しながら見極めることです。その為には、「誰が」「何のために」「どの位の頻度で」「どの位の額」を使用したのか確認することも必要であって、「接待交際費」「旅費交通費」「通信費」「販売促進費」に関しては「目的」を明確にして予算を立てます。

【無駄の排除】
 企業が経営を維持する上で本当に必要な経費の場合は使い方を見直す=節約となりますが、経営上必要の無い費用に関しては無くてもよい費用=無駄に他ありません。販売計画を達成させるための名目で「接待交際費」を計上するケースがありますが、契約に結び付き会社の利益に貢献できるものであれば問題ありませんが、何時までたっても契約できない、利益が出ない等目的を達成できない費用は必要ありません。「接待交際費」として認める一定の基準を設けることが重要となります。

 また、事務用品や備品など無計画に物を購入し大量に残してしまい結果として廃棄処分となるというケースも多々ありますが必要以外の支出は無駄のなにものでもありませんので、必要最低限のものを調達する習慣をつけるように指導することも必要です。コストをかける以上利益や何等かのメリットが得られることが大前提であり、売上高や利益、更には会社経営にとって中長期的に効果が得られるものに結び付かない費用に関しては徹底的に見直し、削減することを前提とした最終的な経費計画とすることがポイントになります。

【効率化】
 効率化とは「使い方を考える」という意味は既に説明しましたが、例えば日々の業務活動を効率化することで労働時間を短縮することは、残業を減らし人件費を削減する効果に繋がります。
 但し、効率化すると言っても、簡単にできるものではありません。営業活動そのものを効率化する手法として「BPR(=Business Process Re-engineering)」という考え方が参考となります。
会社の活動計画(売上、利益など)を達成するために、仕事の内容や仕事のやり方、組織構造やルールを全面的に見直し、再設計(リエンジニアリング)することです。会社で行われる業務内容を改善するだけではなく、製造工程、原価・品質管理、製品・サービスの供給方法、人事・労務管理など、すべての事業活動を最適化することで、効率性や生産性を飛躍的に向上させることを目指す考え方です。
 単に費用を削減することを前提に「使えるお金の額を減らす」ことが効率化ではなく、同じお金をかけても最終的には利益に繋がるものはその使い方を考えることも必要であり、コストを削減するための方法論として「効率化」は重要な要素になるのです。これは、想定する人件費により最大限の効果を得られるように組織を改革する考え方に他ありません。

 期初に1年間の販売計画と仕入計画=原価計画からその年に利用できる経費の全体的なボリュームを予測することができますが、その範囲内で営業活動を行い、更には利益を計上できるように考えなければなりません。「節約」と「無駄の排除」を常に心がけると同時に如何にして「効率のより事業活動」を実現できるか、一つの要素のみで計画を立てるのではなく複数の要素を組み合わせながら検討する習慣をつけることが重要です。

Copyright 2019 HFMConsulting.Inc ,All Rights Reserved