50年住宅ローンの取扱いについて…

2023年9月20日(水)

九州・沖縄で期間50年の住宅ローンを取り扱うケースが増えているようです。

50年住宅ローン、九州・沖縄で拡大 預金確保の狙いも - 日本経済新聞 (nikkei.com)

超長期の住宅ローンとしては住宅支援機構の「フラット50」があり、金融機関でも「○○銀行_フラット50」として取り扱うケースもあります。
「フラット50」の場合、対象となる住宅物件が「長期優良住宅」の条件に合致しており、申込時の年齢が満44歳未満(親子リレー返済を利用の場合は満44歳以上の方も申込み可ですが、完済時80歳まで)であれば、金利は高めですが(現状2%強)全期間固定金利で借り入れができるようです。ただし、借入金額は購入物件価格の60%までになっているため、フラット35と併用して利用することで購入額の100%借入することも可能のようです。

一方で、西日本シティ銀行のように銀行独自で最大50年間の返済期間(完済時の年齢は81歳未満)を設けている商品を扱っている例もあります。
住宅取得資金だけではなく、カードローンやマイカーローンなど既存の借入金もまとめて組み入れることができる、返済を最大5年間据え置くことができるなど、商品性に特徴を持たせているようです。

住宅ローンという個人を対象とした商品性を考えた場合、高齢化も進み人口が減少する環境下、新規の住宅着工戸数が2022年度で86万戸まで減少、2040年には55万戸になるだろうという予測もあり、住宅ローン市場は縮小する一方で競争は激しくなる傾向が更に顕著になると思われます。
この様な中、借主の負担を軽減する=返済額を抑えるには、金利と借入期間の組み合わせで決定することを考えれば、超長期の融資期間を設けるのは当然の結果と思われます。しかし一方で、50年間、借主が契約通り債務を弁済し続けることを確約できるかという点では、100%確約されることは難しく、返済を滞るリスクは高くならざるを得ないでしょう。
しかし、ローン利用者の状態を長期的にモニタリングする管理体制を整備することで、返済が厳しくなる兆候を未然に捉え早目の対策を講ずることで、想定されるリスクを軽減することは可能になるのではないでしょうか。

これまでも言われていますが、住宅ローンを獲得するまで手間暇かけるが、契約後、正常に返済を続けるローン利用者の管理は殆ど行わず、知らないうちに他行に肩代わりされるという事例が頻繁に起こっていることを考えれば、個人向けの安全な運用資産として残高を維持するためには、新規獲得に力を入れるよりも、既存の住宅ローン利用者の管理体制を徹底することで他行流出を予防る対策を講ずることが最も重要になるのではないでしょうか。

 

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