アップルの預金サービスに関する記事です…

2023年5月5日(金)

4月17日から始まったアップルの新しい預金サービス、最初の4日間で9億9000万ドル(約1360億円)もの預け入れがあったとのことです。

アップルの新預金サービス、開始4日間で約1360億円の入金(Forbes JAPAN) - Yahoo!ニュース

Appleの預金口座開設は30秒 既存銀行は生き残れるか - 日本経済新聞 (nikkei.com)

アップル預金口座の魅力は、一般の銀行の平均預金金利と比べ10倍以上の4.15%という金利にありますが、米金融大手ゴールドマン・サックスのバンクUSAとの提携により提供されているそうです。
ただし、誰もが利用できるわけではなく、米国在住者で
Apple Cardを契約しているユーザーが対象であり、iPhoneのウォレットアプリから口座開設画面に進み、アメリカの社会保障番号(SSN)の入力と質問への回答だけで口座が使えるようになるようです。
これまでのサービスでは、アカウントに紐づけされた銀行口座やApple Cashの残高から入金や送金が無料ででき、後払いサービスも利用できるのですが、今回の預金サービス提供により、「製品・サービス販売」「決済」「貯蓄」「ファイナンス」の全ての機能がアップル経済圏で利用できる環境が整ったということでしょうか。

Apple Cardは、2019年にスタートしたアップルとゴールドマン・サックスが提供するクレジットカードで、こちらもiPhoneのウォレットアプリからすぐにカードを作ることができ、Apple Pay(NFCを用いた非接触決済)であればすぐに使えるものですが、与信枠の上限は低く抑えられており、低所得者や学生でも利用できるようにカード利用者のすそ野を広げているのが特徴のようです。
カードを利用すると、2~3%相当のキャッシュバックが「Apple cash」の預金口座に貯まる仕組みとなっているのですが、今回提供される預金口座と関連付けられることで、キャッシュバック資金が高金利の預金に預け入れられ、お得感が更に高まるものと思われます。

クレジットカードの利用に関しては、利用履歴等の情報を活用して「与信判断モデル」を体系化するメリットがあると言われていますが、利用者層のすそ野を拡大することで、独自のモデル構築の環境整備にも繋がっているのではないでしょうか。

また、この預金口座の上限は米連邦預金保険公社(FDIC)の預金保護上限と同じ25万ドル(約3400万円)に設定されており、保護の対象にもなっているようですから、利用者側としては安心感もあるのでしょう。米国では、大手地銀の破綻が顕在化していることを考えると、安全で高利回り、各種サービスが付加されている点を考えると、預入額は更に増加しているものと思われます。

今回のサービスは、米国在住者向けのサービスでもあり、Iphoneユーザーの相対的利用者数が多い日本国内では利用できるものではないのですが、低金利環境下の日本において、この様なサービスが提供されるとなれば反響は想像以上かも分かりません。
企業経営という観点からすると、適用する金利負担を維持することができるのか否かがポイントになるのでしょうが、クレジット機能による手数料収益や後払いによるファイナンス収益も含め、総合的に収益事業化できるめどが立っているということなのでしょうか。
国内でも、携帯キャリアであるドコモ(=じぶん銀行)やソフトバンク(=PayPayi銀行)も独自のクレジットカードと銀行預金とを連携させたサービスを提供していますが、普通預金金利は0.001%という状況であり、太刀打ちできる状況ではないのが現状なのでしょうか。

 

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