JR東日本が銀行業務へ参入するそうですが…

2022年12月14日(水)

JR東日本が、デジタル金融サービス「JRE BANK」を2024年春に開始すると発表しました。

JR東、ネット銀行に参入 2024年春にスタート ATMの現金引き出し手数料無料 - ITmedia NEWS

楽天銀行と提携し、銀行代理業ライセンスを取得して実現するようですが、住信SBIが提供している「NEOBANK」のサービス内容と同じスキームかと思います。
6月のブログでもコメントしましたが(http://www.hfmc-honda.com/index-BLOG_20210622.html)必然の流れなのでしょうが、検討すべきポイントは多々あるような気がします。

JRBANKの目指すコンセプトでは、既存のサービスを統合して「新たなデジタル金融」を目指すとのことですが、ここに、銀行業務をどのように組み込み付加価値を生み出すかがポイントになるかと思います。駅のATMによる現金引き出し手数料が無料になるというだけでは、顧客を獲得するにはインパクトは低いような気もしますし、おそらく、東急電鉄のように発券機をCDとして利用できるようにする機能も採り入れるのではないかと思いますが、今後、現金引き出しニーズはどこまであるのかを考えると、インパクトは低いでしょう。
ポイントサービスとの連携に関しても、先行するNEOBANKのJALマイレージ、Tポイント、山田ポイント等急拡大している様子がない点を考えると、どこまで訴求力があるのかも疑問です。
送金手数料を優遇するという点に関しても、フィンテック系企業の台頭により競争環境が激しく、その点でもメリット感は無くなるのではないでしょうかね。

やはり、鉄道+ステーションとしてのリアル環境をどこまで活用することができるのか、貯蓄とファイナンスをどのようにして組み込むことができるのか、付加サービスをどこまで拡充できるかがポイントになるような気もします。
政府が力を入れている「貯蓄から投資への転換」を後押しする対策として、少額投資非課税制度(NISA)について、投資枠の上限を拡大し、年間で計360万円、生涯分で1800万円とする案を軸に政府内で検討を進めているようですが、NISAに関連する商品を利用する際に何か付加価値を提供できるようにするとか、ファイナンスを利用する際に適用金利以外の付加価値を提供する等、企画力が試されるのではないでしょうか。

一方で、口座開設の際や口座利用の動態把握等「アンチマネロン」対策など管理面での負担が大きくなることや、個人情報保護対策の強化も視野に入れる必要があり、銀行代理業のライセンス取得という形態であっても体制整備面でも検討すべき点が多く、収益性はどうなるのかも検証する必要はありそうです。

 

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