決済サービスに関する記事ですが…

2022年8月18日(木)

資金移動業者であるフィンテック企業が、全銀システムを利用して資金移動する処理が可能になるようです。

決済アプリで銀行送金 23年にも、事業者の日銀口座条件: 日本経済新聞 (nikkei.com)

スマフォによる決済専用アプリが普及している環境下、決済の一つとして銀行などへの送金による手続きが安い手数料で実現可能になれば、利用する消費者にとっては有難いサービスになるのではないでしょうか。
一方、銀行としても、送金業務に関しては、資金移動業者対策として手数料が発生しない扱いとして、スマフォアプリを利用した個人間の少額送金サービの提供を開始することを公表しています。

少額送金「ことら」10月11日開始 メガバンクの手数料無料に: 日本経済新聞 (nikkei.com)

2021年5月に施行された「改正資金決済法」において、資金移動業者は、資金移動対象金額に応じて3種類に分類され、登録手続きや組織上の管理体制面、報告義務、保証金の供託等で制約に差はありますが、おそらく、取扱上限額が100万円までの第二種移動業者を意識した扱いになるかとは思いますが、銀行界も含め、競争が激しくなるのは間違いないでしょう。

今回の扱いが実現した際に大きく影響するのは、支払手段としての為替業務だけではなく、アプリ口座への入金となる、銀行を介さずフィンテック企業が提供する口座に給与を直接振り込む「デジタル払い」の給与支払いが解禁になることではないでしょうか。
安全面で躊躇されていた扱いが、システム面で安全性が担保されれれば、生活に必要な決済口座として利用する消費者は更に増えるのではないかと思われます。
銀行の普通預金に預けていても利息も見込めない現在の金利環境を考えれば、決済アプリで適用されるポイント還元サービスというプラス要素は消費者にとってメリットが高くなり、これまで利用されている銀行の預金口座離れの要因になる可能性も高いでしょう。
日常の生活に必要な資金、将来のための蓄えとしての資産運用資金、一時的に必要となるファイナンスによる調達資金、万が一のための保障を補う資金という観点から、それぞれのサービスを連携させる事業体=グループが現れれば、銀行業の免許を取得することなく、これまでの金融機関と同等のサービスを提供できるようになる可能性もあります。

サービス対象を個人に限定することで、取扱上限金額に100万円という制約はあっても決済業務も扱えることが可能となれば、個人専用の総合金融サービス事業体として活動するフィンテック企業も現れるのは時間の問題と思いますが、金融機関も、企業としての存在意義を改めて考え直す時期が近づいてきていると感じるのは私だけでしょうか…

 

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