リバースモーゲージ取扱いに関する記事です…

2021年1月5日(火)

楽天銀行が、ハウスドゥグループと提携して、リバースモーゲージの取扱いを開始するという記事です。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGC289WD0Y0A221C2000000?unlock=1

不動産の評価や債務保証をハウスドゥ関連会社が担うもので、楽天銀行によるリスク負担は無い仕組みのようです。
ハウスドゥ社は、既にリースバック方式で、不動産を資金化する仕組みを確立していますが、おそらく、物件の買取資金を独自で調達するには負担が大きくなることから、銀行が融資する債権に対して債務保証することで、リース料に近い、保証料を得る仕組みに転換したのではないでしょうかね。
因みに、ハウスドゥ社は、昨年暮れに、自社が保有するリースバック資産を証券化していますが、簿価よりも譲渡価格の方が高くなっているようです。
https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/cnhbww/
リース契約する際の評価額よりも現在の評価額が高いということは、当初の評価額が低かったのか、それとも、リースバックで取得できる住宅居住者から受け取るリース料の価値が相応に高いということなのか、どちらかでしょう。
上場会社でもあり、資産を譲渡することで財務体質の改善を図ったとも取れますが、最終的リスクはどのように補完しているのでしょうかね…

そもそも、リバースモーゲージという商品は、不動産担保ローンの一種であり、契約時の物件評価=将来の価格予測が肝となるもので、評価額により利用できる金額が決まるものです。契約満了時に物件を処分して借入金を全額返済するスキームですが、楽天銀行のように期間中は利息負担のみというものもありますが、借入額に組み入れる仕組みもあります。
以上の商品性から、銀行が、リバースモーゲージの取扱いに慎重になるのは、以下3つのリスクを回避することが難しいからと言われます。
1.契約満了時(=契約者が死亡した時点)の物件評価額の下落リスク…契約時の評価額を下回る可能性が高く相続人の負担になる
2.物件保有者が長生きすることで、最終処理が難しくなる「長生きリスク」…結果として処分時に負債が残り相続の際にもめる
3.金利上昇による負担が増加する「金利リスク」…評価額の範囲内に収まらない、または、利用者が金利負担できなくなりデフォルトする

今回の商品は、上記リスクをハウスドゥグループが負担する仕組みであり、銀行としては、ある意味ノーリスクで2.95%(且つ変動金利)の金利収入が得られるもので、現在の低金利という環境下では、うま味のある仕組みと思います。(ハウスドゥグループへの保証料負担割合にもよりますが…)
しかし、肝心の、リスク負担部分をハウスドゥグループが最後まで担うことができるのかがポイントになるでしょう。
商品として、契約満了となるケースは5~10年後からと予想されますが、その時点でどうなるかが課題になると思います。基本的に、ハウスドゥ社は不動産仲介業者であり、最終取得した物件を二次利用することで収益を得る仕組みを確立できるので、将来想定されるリスク相当部分を予防的に毎期引当処理することで運用することは可能と思いますが、そこまで、想定したスキームになっているのか、否か、確認したいものです。

高齢化社会~人生100年とも言われますので、自宅として保有している資産を有効活用する仕組みは必要であり、今後ニーズも高まると思いますが、想定されるリスクを負担できるスキームを確立することがポイントになりそうですね。

 

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