米国のフィンテック企業、既存銀行事業に侵食

2020年12月28日(月)

米国のユニバーサルバンクであるBOA=Bank of America等大手既存銀行の主な収益源が広範囲にわたって破壊しつつあるというレポートです。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ223N70S0A221C2000000

記事では、以下の分野について、様々なスタートアップ企業の取り組みを紹介しています。
・消費者向け決済
・投資銀行(アドバイス)
・預貯金
・資産、投資(ロボアドバイザー)
・法人クレジット
・法人融資

ブレッドキング氏の「BANK4.0」でも、既に指摘されている事象が現実になりつつあるようですが、新型コロナ禍の今年は、消費者の行動が激変、金融取引も然りであり、日本国内においても同様の現象が起きているのでしょう。
電子決済の普及は、正にその兆候と思いますし、手数料の安い海外送金、ロボアドバイザーによる資産運用、決済情報を活用した法人向け融資等々、同様のサービスは多数現れています。
金融機関経営に、どの位の影響が出ているのか具体的な検証は行われていませんが、来年は、今年以上にデジタルバンキングやオンライン取引が好まれるようになるのではないでしょうか。

収益性に苦しんでいる金融機関は、早急に対策を講じなければならないと思いますが、昨今の動きを見ている限り、特定の銀行は別として、総じて、未だ未だのように思います。
地方銀行に関しては新たな事業モデルを確立しなければ生き残るのは厳しいのではないかと言われており、政府・日銀が再編を促す施策も打ち出しています。
日銀は、地方銀行や信用金庫の他、信用組合や農業・漁業協同組合など経営改善に取り組む地域金融機関を対象に、①収益力の向上や経費削減②合併や他行の連結子会社化になる等、条件に合致すれば、日銀に預ける当座預金に年0.1%の上乗せ金利を付けるそうです。
一方、金融庁も預金保険機構の利益剰余金を活用し、合併時に必要となるシステム投資や店舗統廃合のコストの3分の1程度を補助することを決めています。

独自路線で生き残れなければ、当該支援策を活用し生き残りを図ることも想定されますが、果たしてそれだけで良いのでしょうかね。
消費者が求めるニーズを捉え、新たな事業モデルを確立し対処することが重要であって、従来型の経営を踏襲したまま統廃合しても、何ら、解決にはならないと思います。
経営の効率化のみを条件にするのではなく、「新たな事業モデルを実現する」という条件も考慮すべきではないでしょうか。

異業種との連携を視野に入れた、参照系APIと更新系APIという「銀行システムとの連携」について金融庁も推奨していますが、手数料等の問題で暗礁に乗り上げているような話もあります。金融機関側の既得権益が影響しているともいわれますが、消費者が望むサービスを如何にして、早く安価に開発し提供するのか考えるのならば、独自路線での開発よりも、実績のある既存企業との連携によるサービス化を実践するほうが、時間とコストを大幅に節約できるはずです。しかし、何故そうならなのか、金融機関経営者の意識が変わらないということでしょうか…

2021年、金融機関にとっても勝負の年になるような気配ですが、スタートダッシュで先を行く金融機関は現れるのでしょうか…
従来までの柵を断ち、新たない金融経営を実践する金融機関が現れることを期待したいものです。

 

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