カード決済情報を外販するサービス

2019年10月18日(金)

三井住友カードが、クレジットカードの決済履歴情報を個人が特定できない形に変換したデータとして、小売店や飲食店に提供するサービスを開始するそうです。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51086090X11C19A0MM8000/

カード入会時に登録される、年齢、職業、年収等の顧客属性とカードの決済情報を組み合わせてマーケティング用の情報として提供するものです。
個人情報保護の観点から目的外の利用は制限されていますが、個人情報保護法の改正により新たに導入された、個人情報を特定できないように「匿名加工情報」に変換することで目的外にも利用できるということのようです。
経済産業省は「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン」を公表しており、当該ガイドラインにのっとて利用するのでしょう。

米国では、代替データ=オルナタティブデータとしての活用が実用段階にはいっており、市場規模も3年で4倍になるという試算もあるようです。
今回のクレジットカード情報の活用方法も、その流れになっているのでしょうが、どの位の精度の情報が提供されるかによって普及するか否かが決まるかとは思います。

今回の匿名化の方法は、おそらく以下のようになるかと思います。
・顧客名 → 無
・カード番号 → 無
・住所 → 都道府県のみ(東京都)
・年齢 → 一定の階層区分(25~30歳)
・年収 → 一定の階層区分(300万円台)
・利用店名 → 一定のカテゴリー業種(医療・ドラッグストア)
・利用金額→一定の階層区分(2千円台)
つまり、「東京在住の25~30歳で年収300万円台の男性はドラッグストアで月に何回、どれ位の金額を利用する」位の情報が提供されるイメージと思います。
また、POSレジの情報を利用できるのであれば、利用場所のカテゴリー別から「個別商品」までの利用状況が分かるような情報に加工することも可能でしょう。
以上の情報が有効か否かは、利用する企業側の判断になりますが、4400万枚のカード情報の結果となればそれなりに活用できそうです。

一方、国内銀行でもクレジットカードは銀行本体で発行しているので、預金口座情報や商品サービス利用情報、クレジット情報を総合的に活用できるのですが、本格利用しているケースは少ないのが現状です。
しかし、銀行本体の情報も加味した情報を「匿名加工情報」に変換して提供するということも、本来は考えられるはずですが、そこまで検討している銀行はあるのでしょうか。
Fintech的な捉え方で、他社のSNS(交流サイト)の投稿情報やスマートフォンの位置情報等との連携を可能にできるのであれば、更に有益な情報として提供できると思います。

そのためには、情報を利活用するスキルとノウハウを持つ人材=データサイエンティストを育てることが重要になるのでしょう。

 

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